銀行員が決算書で最初に見る3つの数字 ─ 社長も知っておくべき財務指標
その3つを社長自身が把握できていれば、融資相談・追加借入・リスケのどの場面でも、銀行員と同じ目線で会話できるようになります。
本記事では、銀行員が中小企業の決算書で真っ先に確認する3つの数字を、BEYONDの実務目線で解説します。
1. そもそも銀行員はどこから決算書を読むか
銀行員は決算書を ★物語として読みません★。 ★リスク評価のための数値判定★ として読みます。順番もほぼ決まっていて、最初の数分で「貸せる会社か、貸せない会社か」 の仮判定が頭の中で動いています。
その仮判定で見ているのが、これから紹介する3つの数字です。本決算書の中の細かい勘定科目ではなく、 ★3つの集計値★ が「貸し倒れリスクの目安」 として機能しています。
逆に言えば、 ★社長がこの3つを自分の頭の中で把握できていれば、銀行員と同じ視点で自社を見ることができます★。これは融資の場面だけでなく、 ★日々の経営判断そのものを底上げする★ ことになります。
2. 数字① 借入返済原資 (営業利益 + 減価償却費)
営業利益はPLの真ん中、減価償却費は販管費の中(製造業なら売上原価にも) にあります。この2つを足した金額が、 ★1年間で借入返済に回せるキャッシュの目安★ になります。
銀行員はこれを、借入総額と比較して「何年で返せる会社か」 を見ます。一般に、債務償還年数の目安は次のように言われます。
- 10年以内: 健全。追加融資の余地もあり
- 10〜15年: 注意ゾーン。事業計画書で説明が必要
- 15年超: 警戒ゾーン。リスケ・条件変更の検討対象
- 20年超: 危険水域。事業構造の見直しが急務
たとえば営業利益2,000万円 + 減価償却費800万円 = 返済原資2,800万円の会社が、借入総額3億円を抱えていれば、債務償還年数は約11年。「注意ゾーン」 です。新規融資は説明力勝負になります。
★ここで重要なのは、 ★社長自身がこの数字を月次で追えるか★ という点です。多くの中小企業は ★決算が終わってから (=年1回)★ しかこの数字を確認していません。月次で見えていれば、 ★悪化の兆候を3〜6ヶ月早く察知★ できます。
3. 数字② 自己資本比率
自己資本比率は、 ★会社の財務体力の総合点★ のようなものです。銀行員は単年だけでなく、3〜5年の推移で見ます。
- 40%以上: 優良。財務体力十分
- 20〜40%: 標準。中小企業の平均的レンジ
- 10〜20%: やや弱い。借入比率が高い状態
- 10%未満: 警戒。債務超過リスクあり
- マイナス: 債務超過。追加融資は極めて困難
注意したいのは、 ★「単年で良い・悪い」 ではなく「推移で改善しているか」★ を銀行員は見ているということです。20%→18%→15%と下がってきている会社と、12%→14%→16%と上がってきている会社では、現在の絶対値が同じ20%付近でも ★銀行員の印象は真逆★ です。
もう一点。 ★社長の頭の中の「自己資本比率」 と、銀行員が見ている数字がズレていることが多々あります★。役員借入金は「実質自己資本」 と銀行員も見なすことが多いですが、 ★社長個人が会社に貸している金額を自分で正確に把握していない★ ケースは珍しくありません。
4. 数字③ 利益率3点セットの「推移」
銀行員が単年の利益率を見ることはあっても、 ★単年だけで判断することはありません★。必ず3年分の推移を見ます。理由は明確で、 ★構造的な体質と一時的な変動を区別したいから★ です。
3つの利益率は、それぞれ異なる情報を持っています。
- 粗利率 (=売上総利益率): 商品・サービスの値付け力。業界平均と比較
- 営業利益率: 本業の稼ぐ力。固定費の重さも反映
- 経常利益率: 借入金利を含めた総合力。金利上昇局面では特に重要
銀行員がチェックするのは、 ★この3つの「動き方の組み合わせ」★ です。たとえば:
- 粗利率↑ / 営業利益率→ / 経常利益率↓ → 売値は上げられているが、固定費 or 金利負担で食われている
- 粗利率↓ / 営業利益率↓ / 経常利益率↓ → 値付け力が落ちている=競争力の低下が始まっている
- 粗利率→ / 営業利益率↑ / 経常利益率↑ → コストコントロールが効いている。優良パターン
- 粗利率↑ / 営業利益率↑ / 経常利益率↑ → 構造的な改善が進行中。最も評価されるパターン
★社長自身がこのパターン分析を月次でできていれば、 ★銀行員に「なぜ今こうなっているか」 を自分の言葉で説明できる★ ようになります★。これが、 ★融資相談の場で銀行員に安心感を与える最大の要素★ です。
5. 想定事例: 数字が見えていなかった社長が起こした逆転
※ 以下はBEYONDが実際に伴走するときの動き方を、想定事例としてお見せするものです。
サービス業 / 年商2億 / 銀行から条件変更の打診を受けた
創業20年の社長。決算書は税理士から年1回受け取って眺める程度。 ★月次の数字は経理担当任せ★ で、社長自身は「なんとなく黒字、なんとなく借入が多い」 という感覚で経営してきた。
大事なのは、 ★数字が悪化していたこと★ ではなく、 ★社長自身が数字を把握していなかったこと★ です。把握できていれば、 ★銀行に呼ばれる前に動けます★。
6. BEYONDが伴走するときの「数字の作り方」
BEYONDは銀行交渉のプロではありません。 ★中小企業を自分たちで複数経営してきた当事者として、 ★3つの数字を月次で社長が読める状態★ を一緒に作る★ サービスです。
FLOWで伴走に入る場合、典型的にはこう動きます。
- 初回ヒアリング (無料): 直近3年分の決算書をいただき、 ★3つの数字の推移をその場で可視化★
- Kickoff (有料・初月): 月次試算表が止まっている場合は ★顧問税理士と連携 or 必要に応じて見直し提案★ も含め、月次で数字が回る状態を作る
- ダッシュボード構築: ★社長が毎朝10分で読める数字一覧★ を BEYOND が構築 (BEYOND Holdingsは複数のダッシュボードを社内開発・運用してきた実績あり)
- 毎月伴走: 3つの数字の動きを一緒に読み、 ★兆候段階で打ち手を決める★
- 銀行訪問への同行: 必要なら「事業構造ストーリー」 を一緒に組み立てて、銀行員に伝わる形で持参
★3つの数字を社長が把握する★ ── これだけで、 ★融資交渉・追加借入・リスケ判断のすべてが、後手から先手に変わります★。