資金繰り表の作り方 ── どんぶり勘定から抜ける第一歩
日銀は政策金利を0.75%へ引き上げ、2024年度の倒産は11年ぶりに1万件を超えました。金利も物価も上がる今、「なんとなく回っている」経営はいちばん危ない。
抜け出す第一歩が、資金繰り表です。難しい会計知識は要りません。本記事では、3ブロックで作れる雛形と、先読みで打ち手を変えた想定事例を、BEYONDの実務目線で解説します。
1. 黒字でもお金は止まる ── 2026年がそういう年
利益が出ていることと、手元に現金があることは別物です。売上が立っても入金は1〜2ヶ月後、一方で仕入れや給与・税金の支払いは先にやってくる。この「お金の出入りのタイミングのズレ」が、黒字でも資金ショートを起こす正体です。
そして今、そのズレが効きやすい環境になっています。日本銀行は2025年1月に政策金利を0.5%へ、12月には0.75%へと引き上げ、約30年ぶりの水準に達しました。借入金利が上がれば返済負担は重くなり、原材料費や人件費の高止まりで支払いは膨らむ。実際、2024年度の倒産件数は11年ぶりに1万件を超え、前年度比で約12%増えました。「利益は出ているのに、資金が回らない」会社が増えているのです。
だからこそ、未来のお金の動きを先に見る道具が要ります。それが資金繰り表です。
2. 想定事例: 「なんとなく回っている」社長に起きたこと
※ 以下はBEYONDが伴走するときの動き方を、想定事例としてお見せするものです。
建設関連業 / 年商1.5億 / 黒字決算が続いていた
創業15年、決算は毎期しっかり黒字。社長は通帳残高をときどき眺める程度で、資金繰り表は作ったことがない。「残高があるうちは大丈夫」という感覚で経営してきました。
大事なのは、案件が悪かったことではありません。社長が「先のお金」を見ていなかったこと。先に見えていれば、慌てずに済んだのです。
3. 資金繰り表は、たった3ブロックでいい
資金繰り表と聞くと難しそうですが、構造はとてもシンプルです。月ごと(または週ごと)に、次の3つを並べるだけです。
必要なのは、難しい会計の知識ではなく「いつ・いくら入って、いつ・いくら出るか」の見積もりです。エクセル1枚、最初はざっくりで構いません。作り方の手順はこうです。
- ① 起点の残高を書く:今月初めの預金残高をそのまま入れる。
- ② 入金を時期で並べる:売掛金の入金予定を「金額 × 入る月」で。回収サイトを忘れずに。
- ③ 出金を時期で並べる:仕入・給与・家賃・借入返済・税金・賞与まで、出る月に置く。
- ④ 毎月の残高を計算する:①+②−③で翌月繰越を出し、3〜6ヶ月先まで横に伸ばす。
ポイントは「税金・賞与・借入返済」など、年に数回しか出ない大きな支払いを必ず先に置くこと。資金ショートは、たいていこの"忘れがちな大型出金"の月に起きます。まずは3ヶ月先まで。慣れたら週次で13週先(約3ヶ月)を見ると、精度が一気に上がります。
4. 先を読めた社長は、こう動いた
先ほどの建設関連業の社長が、もし資金繰り表を持っていたら──。
資金繰り表の本当の価値は、表そのものではなく「先に気づけること」にあります。問題が起きてからではなく、起きる前に動ける。これが、どんぶり勘定との決定的な差です。
5. BEYONDが伴走するときの「数字の作り方」
BEYONDは銀行交渉のプロでも、評論家でもありません。中小企業を自分たちで複数経営してきた当事者として、社長が毎週・毎月、自分の手で資金繰りを読める状態を一緒に作るのがFLOWのサービスです。
- 初回ヒアリング(無料):直近の入出金をもとに、その場で3ヶ月先までの資金繰り表を一緒に形にする。
- Kickoff(有料・初月):年に数回の大型出金まで織り込んだ雛形を整え、毎月更新が回る仕組みにする。
- 毎月伴走:残高が薄くなる月を一緒に先読みし、兆候の段階で打ち手を決める。必要なら銀行相談の組み立ても支援。
資金繰り表を持つ──たったこれだけで、資金ショートは「突然」ではなく「予測できるもの」に変わります。後手から、先手へ。
※背景データは、政策金利・利上げ=日本銀行/日本経済新聞報道、2024年度の倒産件数(11年ぶり1万件超・前年度比約12%増)=信用調査会社の集計報道を参照しました。本記事の事例は、複数の現場で起こりやすい状況をもとに構成した想定事例です。