短プラ2.375%へ
── 借入を一覧にして、期日と金利タイプを分散する
短プラは2024年9月の1.475%から段階的に上がり続け、2025年3月に1.875%、2026年2月に2.125%、そして今回の2.375%。2年足らずで1%近く上がったことになります。日銀の政策金利そのものは2026年7月31日の会合で1.0%に据え置かれましたが、変動金利で借りている会社には、すでに反映が始まっています。
ここで多くの社長が考えるのはこれから金利はどうなるかです。ただ、それは自社では動かせません。動かせるのは借り方の組み方だけです。
1. まず現在地 ── 短プラ0.25%の上昇が自社にいくら効くか
短期プライムレートは、多くの金融機関が変動金利の借入で基準にしている金利です。ここが動けば、時間差をおいて既存の借入金利にも反映されていきます。まず影響額を出します。
1回の改定だけを見れば、多くの会社は耐えられる金額です。問題は、これが2年足らずで4回目だということ。1回ずつは小さくても、累積すると固定費として無視できない大きさになります。そして自社の借入のうち、いくらが変動なのかを即答できる会社は多くありません。
2. 金利予想を当てにいかない ── 決めるのは比率と期日
相談でよく聞かれるのは「いま固定に切り替えるべきか」です。この問いは、今後の金利を当てられる前提に立っています。当てられるなら誰も苦労しません。
実務で決めるべきなのは、予想ではなく組み合わせです。具体的には二つ。変動と固定の比率と、返済期日の散らばり方。この二つは自社で決められます。そして決めておけば、金利がどちらに動いても致命傷にはなりません。
目安の考え方はこうです。金利が1%上がっても資金繰りが回る範囲まで変動を持ち、それを超える分は固定にする。固定のほうが当初の金利は高くつきますが、それは読み違えたときの損失を限定するための費用です。
3. 想定事例: 同じ借入額で、負担の増え方が違った2社
※ 以下は、実際に起こりやすい状況をもとに構成した想定事例です。
年商4億円前後・借入総額8,000万円。どちらも黒字で返済も遅延なし
4. turn: 借入を1枚の一覧にして、3つの偏りを直す
最初にやることは借換えでも交渉でもなく、一覧を作ることです。エクセル1枚で足ります。
- 入れる6項目: 借入先/当初金額と残高/金利と金利タイプ(変動・固定)/毎月返済額/最終返済期日/担保・保証の有無
- 偏り①:金利タイプ ── 変動に寄りすぎていないか。全額変動なら、金利1%上昇時の年間負担増を計算し、その額を営業利益と比べる。耐えられないなら比率を動かす
- 偏り②:返済期日 ── 終わりが同じ年に集中していないか。集中していると、その年に借換え交渉が重なり、足元を見られやすい状態になる
- 偏り③:借入先 ── 1行に寄りすぎていないか。条件を比べられる相手がいることが、そのまま交渉力になる
直し方は一度に全部ではありません。次に借りるとき、次に借り換えるときに、偏っている軸を1つずつ崩す。新規の1本を別の銀行から固定で借りる、それだけで3つの偏りが同時に少し改善します。既存を無理に組み替えるより、次の1本で調整するほうが手数料も手間も少なく済みます。
5. 学び: 固定は保険であって、勝ち負けではない
固定金利を選ぶと、金利が上がらなかった場合に「損をした」と感じます。ここで多くの判断が歪みます。固定は投資判断ではなく、保険の購入です。火災保険を掛けて火事が起きなかったことを損とは言いません。
判断の基準はシンプルで、金利が1%上がったときに、資金繰り表が回るかどうか。回るなら変動を多めに持ってよく、回らないなら回る水準まで固定に寄せる。予想ではなく、自社の耐久力から逆算するのが実務です。
私たちBEYONDは、9社の中小企業を自分たちで経営しています。借入も返済も、自分の会社の話として引き受けている当事者です。その実感として言えるのは、金利上昇で本当に効いてくるのは利息額そのものより、借換えのタイミングで選択肢がないことだということ。期日が重なり、1行にしか借りていない状態で条件改定を迎えると、こちらに交渉のカードがありません。
短プラは2年足らずで1%近く上がりました。次の改定を止めることはできませんが、次の改定が来たときの影響範囲は、いまの組み方で決まります。
自社の借入、金利タイプ別にいくらあるか即答できますか?
1分でできる財務体力チェック、もしくは無料ヒアリングから。借入の偏りと金利上昇の影響額を一緒に確認します。
6. BEYONDが伴走するときの動き方
BEYONDは、金利の見通しを解説して終わりではありません。実際に一覧ができ、次の1本の方針が決まり、金融機関と話せる状態になるところまで一緒に動きます。FLOWで伴走に入る場合、典型的にはこう進めます。
- 借入一覧の作成(無料ヒアリング): 全借入を6項目で整理し、金利タイプ別の残高を集計する
- 影響額の試算: 金利が0.25%・0.5%・1%上がった場合の年間負担増を出し、営業利益と資金繰り表に当てて耐久力を確認する
- 偏りの特定と方針決め: 金利タイプ・返済期日・借入先の3軸で偏りを洗い出し、次の1本で何を直すかを決める
- 金融機関との話し方の準備: 現状の説明資料をそろえ、条件を比較できる状態を作る
金利は自社では動かせません。動かせるのは、影響の受け方だけです。