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#財務・資金繰り #意思決定 #数字・見える化
FINANCIAL COLUMN · 2026.08.11 · BEYOND Holdings 編集部

短プラ2.375%へ
── 借入を一覧にして、期日と金利タイプを分散する

2026年8月3日、短期プライムレートが上がりました。三菱UFJ銀行やみずほ銀行などが6月16日に発表していたもので、2.125%から0.25%引き上げて2.375%です。
短プラは2024年9月の1.475%から段階的に上がり続け、2025年3月に1.875%、2026年2月に2.125%、そして今回の2.375%。2年足らずで1%近く上がったことになります。日銀の政策金利そのものは2026年7月31日の会合で1.0%に据え置かれましたが、変動金利で借りている会社には、すでに反映が始まっています。
ここで多くの社長が考えるのはこれから金利はどうなるかです。ただ、それは自社では動かせません。動かせるのは借り方の組み方だけです。
CONTENTS
  1. まず現在地 ── 短プラ0.25%の上昇が自社にいくら効くか
  2. 金利予想を当てにいかない ── 決めるのは比率と期日
  3. 想定事例: 同じ借入額で、負担の増え方が違った2社
  4. turn: 借入を1枚の一覧にして、3つの偏りを直す
  5. 学び: 固定は保険であって、勝ち負けではない
  6. BEYONDが伴走するときの動き方

1. まず現在地 ── 短プラ0.25%の上昇が自社にいくら効くか

短期プライムレートは、多くの金融機関が変動金利の借入で基準にしている金利です。ここが動けば、時間差をおいて既存の借入金利にも反映されていきます。まず影響額を出します。

KEY NUMBER
変動金利での借入残高 × 0.25% = 年間の追加利息
変動での残高が5,000万円なら年12.5万円、1億円なら年25万円。利益からそのまま引かれる。2024年9月からの累計で見れば、上げ幅はこの数倍になっている

1回の改定だけを見れば、多くの会社は耐えられる金額です。問題は、これが2年足らずで4回目だということ。1回ずつは小さくても、累積すると固定費として無視できない大きさになります。そして自社の借入のうち、いくらが変動なのかを即答できる会社は多くありません

2. 金利予想を当てにいかない ── 決めるのは比率と期日

相談でよく聞かれるのは「いま固定に切り替えるべきか」です。この問いは、今後の金利を当てられる前提に立っています。当てられるなら誰も苦労しません。

実務で決めるべきなのは、予想ではなく組み合わせです。具体的には二つ。変動と固定の比率と、返済期日の散らばり方。この二つは自社で決められます。そして決めておけば、金利がどちらに動いても致命傷にはなりません。

目安の考え方はこうです。金利が1%上がっても資金繰りが回る範囲まで変動を持ち、それを超える分は固定にする。固定のほうが当初の金利は高くつきますが、それは読み違えたときの損失を限定するための費用です。

3. 想定事例: 同じ借入額で、負担の増え方が違った2社

※ 以下は、実際に起こりやすい状況をもとに構成した想定事例です。

SIMULATION

年商4億円前後・借入総額8,000万円。どちらも黒字で返済も遅延なし

A社: 借入は3本あるが、すべて同じ銀行の変動金利。借りた時期も近く、返済の終わりが同じ年に集中している。金利改定のたびに8,000万円全額が影響を受け、さらに数年後には借換えの相談が一度に来る
B社: 同じ8,000万円を4本に分け、2行から借り、うち約半分を固定にしている。返済の終わる年もばらけている。今回の改定で影響を受けたのは変動分だけで、追加利息はA社のおよそ半分にとどまった。
差がついた理由: B社が金利を予想できたからではありません。借入を一覧にして、偏りを見つけて直していた。ただそれだけです。

4. turn: 借入を1枚の一覧にして、3つの偏りを直す

最初にやることは借換えでも交渉でもなく、一覧を作ることです。エクセル1枚で足ります。

借入一覧に必ず入れる6項目と、直すべき3つの偏り

直し方は一度に全部ではありません。次に借りるとき、次に借り換えるときに、偏っている軸を1つずつ崩す。新規の1本を別の銀行から固定で借りる、それだけで3つの偏りが同時に少し改善します。既存を無理に組み替えるより、次の1本で調整するほうが手数料も手間も少なく済みます

5. 学び: 固定は保険であって、勝ち負けではない

固定金利を選ぶと、金利が上がらなかった場合に「損をした」と感じます。ここで多くの判断が歪みます。固定は投資判断ではなく、保険の購入です。火災保険を掛けて火事が起きなかったことを損とは言いません。

判断の基準はシンプルで、金利が1%上がったときに、資金繰り表が回るかどうか。回るなら変動を多めに持ってよく、回らないなら回る水準まで固定に寄せる。予想ではなく、自社の耐久力から逆算するのが実務です。

私たちBEYONDは、9社の中小企業を自分たちで経営しています。借入も返済も、自分の会社の話として引き受けている当事者です。その実感として言えるのは、金利上昇で本当に効いてくるのは利息額そのものより、借換えのタイミングで選択肢がないことだということ。期日が重なり、1行にしか借りていない状態で条件改定を迎えると、こちらに交渉のカードがありません。

短プラは2年足らずで1%近く上がりました。次の改定を止めることはできませんが、次の改定が来たときの影響範囲は、いまの組み方で決まります

自社の借入、金利タイプ別にいくらあるか即答できますか?

1分でできる財務体力チェック、もしくは無料ヒアリングから。借入の偏りと金利上昇の影響額を一緒に確認します。

6. BEYONDが伴走するときの動き方

BEYONDは、金利の見通しを解説して終わりではありません。実際に一覧ができ、次の1本の方針が決まり、金融機関と話せる状態になるところまで一緒に動きます。FLOWで伴走に入る場合、典型的にはこう進めます。

金利は自社では動かせません。動かせるのは、影響の受け方だけです