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#財務・資金繰り #数字・見える化 #意思決定
FINANCIAL COLUMN · 2026.07.19 · BEYOND Holdings 編集部

資金繰り表は『作る』より『回す』── 月次で続ける、お金の健康診断

資金繰り表を一度は作ってみた。でも、作り込むうちに面倒になって、続かなかった──中小企業でいちばん多いパターンです。
大事なのは、精密な表を一度作ることではなく、ざっくりでいいから毎月回すこと。健康診断と同じで、続けるからこそ異変に早く気づけます。
この記事では、3項目に絞って資金繰りを月次で回す方法を、想定事例を交えてBEYONDの実務目線で解説します。
CONTENTS
  1. なぜ今、月次の資金繰りが効くのか
  2. 続かない原因は『完璧に作ろうとするから』
  3. まず回すのは、この3項目だけ
  4. 想定事例: 月次点検が、危機を3ヶ月前に見つけた
  5. BEYONDが伴走するときの『回し方』

1. なぜ今、月次の資金繰りが効くのか

いま、中小企業の資金繰りは静かに正念場を迎えています。コロナ禍の実質無利子・無担保融資、いわゆるゼロゼロ融資を利用した企業の倒産は、2025年通年でも高水準が続き、東京商工リサーチの集計で433件、帝国データバンクの集計では636件と、3年連続で高い水準を維持しました。

そして東京商工リサーチは、コロナ借換保証の返済開始が2026年4月から9月にかけて最後のピークを迎えると指摘しています。つまり、返済負担がもう一段重くなる局面が、まさに目前に迫っているということです。

そこに物価高と人件費の上昇が重なります。怖いのは、名目上は売上が伸びていても、仕入や人件費の増加に運転資金が追いつかず、黒字のまま資金が詰まるケース。こうした環境では、決算後に年1回振り返るだけでは遅い。毎月、手元のお金の流れを点検して先を読むことが、そのまま会社の生存力になります。

2. 続かない原因は『完璧に作ろうとするから』

資金繰り表が続かない会社には、共通点があります。それは最初から完璧を目指してしまうこと。勘定科目を細かく並べ、日繰りまで作り込み、フォーマットの美しさにこだわる。結果、更新が重労働になって、2〜3ヶ月で止まります。

健康診断を思い出してください。毎回フルコースの精密検査をやろうとすれば、面倒で足が遠のく。だからまずは体重・血圧・体温のように、少数の指標を定期的に測ることが続けるコツです。資金繰りもまったく同じ。精度より継続。ざっくりした表を毎月回すほうが、精密な表を一度作って放置するより、はるかに経営を守ります。

続けるための考え方

3. まず回すのは、この3項目だけ

月次で回す資金繰りは、突き詰めれば「来月末、手元にいくら残るか」を先読みする作業です。そのために必要なのは、次の3項目だけ。まずはここから始めます。

NUMBER 01
① 月初の現預金残高
スタート地点。通帳の残高を書き写すだけ。手形や電子債権は除き、すぐ使える現金だけを見る
NUMBER 02
② 今月の入金予定
売掛金の回収など、今月“実際に入ってくる”お金。売上ではなく入金のタイミングで見るのがポイント
NUMBER 03
③ 今月の出金予定(固定費 + 仕入 + 返済)
家賃・人件費などの固定費、仕入の支払い、借入返済。とくに返済は忘れやすいので必ず入れる

この3つで、月末残高 = ① + ② − ③ が出ます。これを3ヶ月先まで並べれば、「何月に、いくら足りなくなりそうか」が見えてくる。1円単位の正確さは要りません。千円・万円単位のざっくりで十分です。大事なのは、不足の兆候を、実際に困る前に掴むことだからです。

4. 想定事例: 月次点検が、危機を3ヶ月前に見つけた

※ 以下は、BEYONDが伴走するときの動き方を想定事例としてお見せするものです。

SIMULATION

金属加工業 / 年商1.5億 / ゼロゼロ融資の返済が本格化

社長は「受注は悪くないし、黒字だから大丈夫」と考えていた。資金繰りは経理担当の感覚任せで、通帳残高をたまに眺める程度だった。

きっかけ: 借換保証の返済が始まるのを機に、FLOWと一緒に3項目だけの資金繰り表を月次で回し始めた。所要時間は毎月10分ほど。
気づき: 3ヶ月先まで並べたところ、2ヶ月後に賞与と大口仕入の支払い、返済が重なり、月末残高が一時的にマイナス寸前になることが判明。売上は黒字なのに、入金と出金のタイミングがずれて資金が詰まる典型だった。
打ち手: 困る前に動けた。① 大口仕入の支払いサイトを1ヶ月延ばせないか取引先に相談、② 賞与の一部支給時期を調整、③ それでも足りない分は資金に余裕があるうちに銀行へ短期の運転資金を相談。慌てて借りるのではなく、余裕を見せながら交渉できた。
結果イメージ: 資金ショートを未然に回避。社長は「黒字か赤字か」ではなく、「いつ、いくら足りるか」で経営を見る視点を手に入れた。

この事例の肝は、特別なテクニックではなく、3項目を毎月回していただけという点です。もし年1回の決算でしか振り返っていなければ、資金ショートは「起きてから」気づくことになっていました。月次で回すとは、困る前に打ち手を選べる時間を、自分に贈ることです。

5. BEYONDが伴走するときの『回し方』

BEYONDは資金繰りのアドバイスをして終わりではありません。中小企業を自分たちで複数経営してきた当事者として、社長が毎月10分で資金繰りを回せる状態を一緒に作ります。FLOWで伴走に入る場合、典型的にはこう動きます。

資金繰り表は、作って安心する道具ではなく、毎月回して先を読む道具です。完璧を目指して止まるより、3項目のざっくりを続けるほうが、確実に会社を守ります。

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