コストが上がり続ける今、固定費の見直しで損益分岐点を下げる順番
こんな時、多くの社長は『売上を増やして埋めよう』とする。けれど値上げが通りにくいなら、固定費を見直して損益分岐点そのものを下げるほうが、確実に効きます。ただし切る順番を誤ると、事業の体力まで削ってしまう。本記事では、利益が残る体質へ変えるための固定費見直しの正しい順番を解説します。
1. なぜ今、『売上より固定費』なのか
コストが上がった分を取り返す道は、大きく二つです。①売上・単価を上げる ②費用を下げる。理屈では①が王道ですが、いまは値上げが簡単に通りません。実際、賃上げ分すら価格に転嫁できていない企業がほぼ半数。売上での挽回に時間がかかる局面では、費用、とりわけ固定費の見直しが即効性を持ちます。
ここで固定費が効く理由は、損益分岐点の構造にあります。損益分岐点とは『これだけ売れば赤字にならない』という売上ライン。固定費が重いほどこのラインは高くなり、少しの売上減で赤字に転落します。逆に固定費を下げれば、損益分岐点そのものが下がり、同じ売上でも利益が残る体質になる。売上を10%増やすのは大変ですが、固定費を10%削るのは、多くの会社に伸びしろが残っています。
2. やってはいけない『順番違い』の固定費削減
ただし、固定費削減には落とし穴があります。削りやすい所からではなく、痛みの少ない所から切ってしまうミスです。目先の数字欲しさに、未来を生む費用や人の士気を先に削ると、コストは下がっても売上も一緒に落ちて本末転倒になります。
- 人件費・人員:一番大きいからと最初に手を付けると、残った社員の士気と品質が落ち、人手不足の今は採り直しもできない
- 売上に直結する広告・営業費:削った瞬間は楽だが、数か月後に新規が枯れる。『種まき費用』を先に切らない
- 設備の保守・教育:見えにくいが、止めると後で事故・故障・離職として跳ね返る
固定費は『金額の大きい順』でも『切りやすい順』でもなく、『事業へのダメージが小さい順』に手を付けるのが鉄則です。
3. 固定費を見直す正しい順番 ── 4ステップ
順番はシンプルです。まず全部を並べて見えるようにし、痛まない所から削り、最後まで人と種まきは守る。
- ① 全固定費を一覧化する:家賃・リース・保険・通信・サブスク・電気・保守・会費まで、毎月出ていく固定費をすべて書き出す。まず『見える化』。ここで惰性の支払いが必ず出てくる
- ② 惰性・重複から切る(痛まない固定費):使っていないサブスク、重複した保険、割高な通信・リース、惰性の会費。事業にダメージゼロで削れる所から。ここだけで数%下がることが多い
- ③ 単価を交渉・切替する:家賃・電気・保険・リースは『金額を下げる』のではなく『条件を変える』。電気は契約プラン見直し、保険は補償の重複整理。取引先との再交渉も含め、質を落とさず単価を下げる
- ④ 変動費化・投資判断は最後に:固定で持つ必要のない機能は外注・従量課金に変える(固定費の変動費化)。人件費や種まき費用に触れるのは、①〜③をやり切った最後。むしろ守る対象と考える
ポイントは①の一覧化を飛ばさないこと。『何にいくら払っているか』を一枚にしないまま削ろうとするから、切りやすい人件費に真っ先に手が伸びる。まず全部を机に並べれば、痛まずに削れる固定費が驚くほど見つかります。
4. BEYONDなら、こう動く(想定事例)
※以下は、BEYONDが実際に伴走するときの動き方を、想定事例としてお見せするものです。
飲食・小売 / 年商1.8億 / 電気代と人件費の上昇で営業利益が薄い
売上はほぼ横ばいだが、電気代・仕入・最低賃金の上昇で利益が目に見えて薄くなった。社長は『人を減らすしかないか』と考え始めていた。値上げは客離れが怖くて踏み切れない。
大事なのは、コスト上昇局面ほど、慌てて人を切る前に固定費の全体を机に並べること。順番さえ守れば、体力を削らずに損益分岐点を下げられます。
5. FLOWは、利益が残る体質づくりに伴走する
BEYONDは評論家ではありません。中小企業を自分たちで複数経営し、コスト上昇と資金繰りを当事者としてくぐってきた集まりです。FLOWは、社長が自社の固定費構造を掴み、体力を削らずに損益分岐点を下げるところまで一緒に手を動かすサービスです。
- 初回ヒアリング(無料):決算書と毎月の支払いから、まず削れる固定費と、守るべき固定費をその場で仕分けする。
- Kickoff(有料・初月):全固定費を一覧化し、損益分岐点を試算。どこを・どの順で削るかの実行順を決める。
- 毎月伴走:交渉・切替・変動費化を一緒に進め、損益分岐点が下がっていく過程を数字で確認する。
コスト高は待ってくれません。まずは『毎月、何にいくら固定で払っているか』を一枚にするところから始めましょう。
※背景データは、約7割の企業でコスト(原材料価格・人件費)が上昇・人件費増加分を『転嫁できていない』がほぼ半数=東京商工リサーチの調査、最低賃金が2025年度に全国加重平均1,121円・引き上げ率6.3%=厚生労働省/中小企業庁の公表資料、電気料金で固定費・準固定費の比重が増大=各種報道・解説を参照しました。本記事の数値・考え方は一般的な財務の整理であり、個別の判断は顧問税理士や取引先にご相談ください。