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#財務・資金繰り #数字・見える化 #意思決定
FINANCIAL COLUMN · 2026.08.29 · BEYOND Holdings 編集部

決算報告を15年、聞き流していた
── 読む順番を変えた日

毎年の決算報告。顧問税理士の説明を聞いて、質問はとくになく、押印して終わる。
中小企業の社長で、この形になっている方は少なくないと思います。決算書が読めないわけではありません。売上も利益も分かる。ただ、読む目的が税務申告のためになっているので、自社の話として頭に入ってこないだけです。
順番を変えると、景色が変わります。損益計算書から入るのをやめる。以下は想定事例です。
CONTENTS
  1. 決算報告が、毎年ただの儀式だった
  2. 順番を変える ── 損益計算書から入らない
  3. 第一の問い: そのお金は、どこから来たか
  4. 第二の問い: そのお金は、いま何に変わっているか
  5. 第三の問い: 利益と現金が、なぜずれたか
  6. BEYONDが伴走するときの動き方

1. 決算報告が、毎年ただの儀式だった

従業員28名の建材商社。二代目社長は就任から15年、毎年きちんと決算報告を受けていました。顧問税理士は丁寧で、説明も分かりやすい。

それでも社長は、報告のあと何も変わらない自分に気づいていました。売上が前年比で何%、利益がいくら。数字は頭に入りますが、だから来期どうするかという話につながらない

あるとき、社長は税理士にこう聞きました。『去年、うちは何が起きた会社だったんですか』。返ってきたのは、決算書の説明ではなく、こういう話でした。『売上は伸びましたが、その分だけ在庫と売掛が増えて、現金は減っています』

数字はすべて決算書に載っていました。社長が見ていなかったのではなく、見る順番が違っていただけです。

2. 順番を変える ── 損益計算書から入らない

ほとんどの決算報告は、損益計算書から始まります。売上、粗利、営業利益、経常利益。成績表として分かりやすいので、自然な順序です。

ただ、損益計算書は1年間の流れしか示しません。会社がいまどういう状態なのかは、そこには書かれていない。だから読んでも、次の判断につながりにくい。

KEY POINT
貸借対照表の右下 → 右上 → 左 → 現金の増減 → 最後に損益計算書
お金がどこから来て、何に変わり、結果いくら残ったか。この順に辿ると、去年が一本の話としてつながる

読む順番を変えるだけです。難しい分析は要りません。三つの問いを、順番に立てていきます

3. 第一の問い: そのお金は、どこから来たか

貸借対照表の右側から見ます。ここには、会社が使っているお金の出どころが並んでいます。

右下は純資産。資本金と、これまで稼いで社内に残した利益です。右上は負債。買掛金、未払金、そして借入金。

ここで見るのは金額そのものより、前期との差です。純資産が増えていれば、去年は稼いだぶんが社内に残ったということ。減っていれば、赤字か、配当や役員報酬で出ていったということです。

そして借入が増えているのに純資産が増えていないなら、他人のお金で規模を保っている状態だと分かります。この一点を押さえるだけで、来期の判断が変わります。自己資本比率という指標も、この右側の構成比を見ているにすぎません

4. 第二の問い: そのお金は、いま何に変わっているか

次に左側を見ます。調達したお金が、いまどういう形になっているか。現金、売掛金、在庫、設備。

冒頭の会社で起きていたのは、まさにここでした。売上が伸びた分だけ、売掛金と在庫が増えていた。売上は損益計算書に載りますが、その裏でお金が売掛と在庫に姿を変えて、動けなくなっていることは、貸借対照表の左側にしか出てきません。

見るべきは、ここでも前期との差です。

左側で確認する4つ

右から左へ辿ると、去年の資金の動きが物語になります。借りたお金が在庫に変わった。稼いだお金が売掛のまま止まっている。ここまで見えて、初めて打ち手が決まります。

5. 第三の問い: 利益と現金が、なぜずれたか

最後に現金の増減を見て、そこで初めて損益計算書と突き合わせます。

利益が出ているのに現金が減っているなら、差額はどこかにあります。売掛の増加、在庫の増加、借入の返済、設備投資。このいずれかです。逆に、赤字なのに現金が増えているなら、借入か、資産の売却か、減価償却の分です。

この突き合わせをやると、利益という数字が、現金とは別物だと体で分かります。そして翌年から、決算報告の聞き方が変わる。『利益はいくらでしたか』ではなく、『利益と現金の差はどこですか』と聞けるようになります。

私たちBEYONDは、9社の中小企業を自分たちで経営しています。各社の決算を毎年見ていて思うのは、決算書が読めない社長はほとんどいないということです。読めないのではなく、読む順番と目的が税務申告に合わせたままになっている。ここを変えるだけで、同じ書類が別の意味を持ちます。

そして冒頭の会社の話には続きがあります。読み方を変えた翌期、社長がやったのは大きな改革ではありませんでした。売掛の回収サイトが長い上位3社に、条件の相談をしただけです。それで現金の詰まりは目に見えて緩みました。打ち手が小さくて済んだのは、詰まっている場所が特定できていたからです。

決算書は、税務署に出すために作られます。ただ、読むのは社長のためです。順番を変えるところから始めてください。

去年一年で、現金はいくら増えましたか?

1分でできる財務体力チェック、もしくは無料ヒアリングから。自社の決算書を経営の判断材料に変える読み方を一緒に確認します。

6. BEYONDが伴走するときの動き方

BEYONDは、決算書を解説して終わりではありません。読んだ内容が来期の打ち手に変わり、翌年の決算で数字が動いているところまで一緒に見ます。FLOWで伴走に入る場合、典型的にはこう進めます。

読めないのではなく、読む順番が違っていただけ、ということがほとんどです