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#財務・資金繰り #意思決定
FINANCIAL COLUMN · 2026.10.26 · BEYOND Holdings 編集部

上半期の倒産は5,373件
── 倒れた日に動く順番

東京商工リサーチが2026年10月8日に発表した2026年度上半期(4月から9月)の倒産は5,373件、前年同期比3.8%増。
年度上半期として5年連続の増加で、負債総額は8,561億6,900万円(23.5%増)。人手不足倒産は240件で過去最多です。
件数を眺めても備えになりません。自社の番が来た日に、何から動くかです。
CONTENTS
  1. 件数を見ても、備えにはならない
  2. 最初の一時間でやるのは、回収ではない
  3. 止める・確かめる・揃える
  4. 回収の手を打つ順番
  5. やってはいけないこと
  6. BEYONDが伴走するときの動き方

1. 件数を見ても、備えにはならない

倒産が増えているという情報は、毎月流れてきます。読んでも行動は変わりません。

変わらない理由は、件数が自社の話になっていないからです。5,373件のうち自社の取引先が含まれるかどうかは、件数からは分かりません。

負債総額が23.5%増というのは、一件あたりが大きくなっているということです。大きい会社が倒れると、取引先への影響も広がります。

備えになるのは、一つだけです。情報が入った日に何から動くかを、先に決めておくこと。

決めていない会社で何が起きるか。その日の午後も、翌日も、通常どおり納品が出ます。

2. 最初の一時間でやるのは、回収ではない

情報が入ると、まず回収に走りたくなります。電話をかける、訪問する、書面を送る。

ところが法的手続が始まっている場合、個別の回収は効力が認められないことがあります。走った時間が無駄になるだけでなく、後で問題になる場合もあります。

最初の一時間で効くのは、二つです。これから出ていくものを止めることと、いくら残っているかを確定させること。

KEY POINT
守れる額 = 止めた納品 + 確定できた債権額
回収できる額は後から決まる。最初の一時間で動くのは、この二つだけ

止めるのは、損失をこれ以上増やさないためです。倒れた相手に納品した分は、まず戻ってきません。

確定させるのは、手続に参加するためです。いくらの債権があるかを示せなければ、届出もできません。

3. 止める・確かめる・揃える

一時間でやることを分解すると、三つになります。

情報が入った日に、この三つ

止めるときに迷うのが、仕掛かりの扱いです。作りかけのものを完成させるか。完成させても納品できないなら、材料と手間が増えるだけです。

揃える作業は、思ったより時間がかかります。注文が口頭で、記録が担当者のメールにしかないことがあります。

だから揃える作業は、倒れる前にやっておくほうが早い。主要な取引先について、未回収額が即日で出る状態になっているか。ここが本当の備えです。

4. 回収の手を打つ順番

三つを済ませた後の動きは、相手の状況によって完全に変わります。

法的手続が開始されているのか、まだ私的な交渉の段階なのか。これによって打てる手が違い、打ってはいけない手も違います。

債権の届出、相殺、担保権の行使、所有権留保の主張。いずれも法令上の要件と期限があります。期限を過ぎると届出ができなくなるものもあります。

だから順番の最初に来るのは、交渉でも請求でもありません。情報を得た時点で顧問弁護士に相談することです。

相談するときに、揃えた記録がそのまま材料になります。揃えていない状態で相談すると、まず揃えてくださいと言われて数日が過ぎます。

そして自社の資金の側も同時に見ます。入る予定だった金額が入らない月の、資金繰りを引き直す。ここは自社でできる作業です。

5. やってはいけないこと

焦ると手が出てしまうものが三つあります。どれも後で問題になり得ます。

一つめ、相手の倉庫から商品を引き取ってくること。自社が納めたものでも、勝手に持ち出すと問題になります。所有権留保の取り決めがある場合でも、主張の仕方には要件があります。

二つめ、他の債権者に先んじて回収を受けること。相手に払わせた分が、後で問題とされる場合があります。

三つめ、噂を広めること。確認できていない段階で取引先に伝えると、こちらが責任を問われることがあります。

いずれも善意でやっても結果は同じです。自社の損失を減らそうとした行為が、別の問題を作ります。

この三つを避けるためにも、相談を先にするのが実務上は最も速い。止める・確かめる・揃えるの三つは、相談の前に自社でやっておける範囲です。

主要な取引先が明日倒れたとして、未回収はいくらありますか?

1分でできる財務体力チェック、もしくは無料ヒアリングから。相手ごとの未回収額と、止めるべき納品を一緒に洗い出します。

6. BEYONDが伴走するときの動き方

BEYONDは、外から助言するコンサルではなく、複数の中小企業を自分たちで経営している集まりです。取引先の破綻に当たったことが、何度かあります。

いちばん痛かったのは、情報が入った日の午後にも納品が出ていたことでした。現場に伝わっていなかった。止める判断は社長がしていたのに、出荷の担当まで届いていませんでした。

それ以降、決めたのは一つです。止めると決めたら、出荷の担当に直接電話する。間に人を入れると、その日のうちに止まりません。

もう一つ分かったのは、記録を揃える作業にいちばん時間がかかることでした。注文が口頭で入っていた案件があり、金額の根拠を示すのに数日かかりました。

FLOWで伴走に入る場合、典型的にはこう進めます。

いちばん抵抗が出るのは、特定の取引先が倒れる前提で試算することです。相手に失礼だという感覚が働きます。ここは相手を疑う作業ではなく、自社の体力を測る作業として立てるほうが進みました。

なお、債権の届出、相殺、担保権の行使、商品の引き取りについては法令上の要件と期限があり、情報を得た時点で顧問弁護士に必ずご相談ください。私たちが一緒にやるのは、その相談に持ち込む材料を平時に用意しておく作業です。